メッシ

メッシが左足タトゥーに込めた意味 担当したアーティストが語る

メッシのタトゥーに関するスペイン紙『エル・パイス』の記事を紹介する。

メッシとタトゥー

レオ・メッシは1987生まれ。ミレニアル世代の一人だ。実際にこれまでに何度もミレニアル世代らしい行動をとっている。バルセロナの10番を背負うメッシは私生活で節目を迎えるたびに、少しずつスタイルを変えているように見える。また、そのような人生の節目にはタトゥーをいれることを好んでいるようだ。2016年に行われたコパ・アメリカ・センテナリオの前にも、タトゥーを入れていた。 メッシがタトゥーを依頼しているのはマル・デ・プラタ(ブエノスアイレスから404kmにある町)に住むロベルト・ロペスという彫師で、メッシからの依頼を受けるたびにバルセロナを訪れているそうだ。

メッシのタトゥーをデザインしているアーティスト「ロベルト・ロペス」とは?

一度アルゼンチン代表からの引退を宣言したメッシだが、関係者に説得されて引退を撤回した。代表復帰に際しては髪を金髪に染めたことが注目されたが、新たなタトゥーもいれていたようだ。

メッシの左足。真っ黒なタトゥー

左足に新しいタトゥーをいれたメッシ

(メッシは)真っ黒な脚にしたいと依頼してきました」と彫師ロペス。もともと左足には別のタトゥーがあった。ボール、数字の10、翼、花、短剣、長男チアゴの両手などが彫ってあったのだという。それらを上書きするために、「真っ黒」という依頼内容になった。「以前のタトゥーには満足していなかったようです。それぞれのデザインには思い出が込められているのですが、いろいろなタトゥーをひとつの場所に詰め込みすぎてごちゃごちゃになっていると感じていたそうです」とロペス。

上の写真はベロオリゾンテで行われたアルゼンチン代表の練習で撮影されたものだが、ロペスによると、このときのタトゥーはまだ完成形ではないとのことだ。「最終的なデザインはできてからのお楽しみ」らしい。



ロペスはつい10日前にもメッシにバルセロナで会ったとのこと。「合計ひと月ほどスペインに滞在しました。まずバルセロナに到着してメッシにタトゥーを彫りました。そのあとは、依頼人を訪ねてスペインを回りました。まずは、バレンシアでエンソ・ぺレス、次にフロレンシアでマウロ・サラテ、ウルグアイ人のマティアス・ベシーノ、メキシコ人のカルロス・サルセド、次にセビージャでマティアス・クラネビッテル、ホアキン・コレアと二人の恋人、あとはキャプテンのビセンテ・イボーラにも会いましたね。大体(2016年の)年末くらいにアルゼンチンに戻ってきましたが、レオ・メッシからの依頼はまだ終わっていないです。引き続きどうすればいいか考えています」とロペス。年末年始にはメッシの誘いでロサリオで行われるニューイヤーフェスティバルに行くため、そのときにメッシからの依頼を終わらせる予定とのことだ。

メッシの左足。真っ黒なタトゥー(正面)

真っ黒なタトゥーの意味

真っ黒のデザインは実は一石二鳥なんです」とロペス。「なぜなら、気に入っていない昔のタトゥーを上書きできるだけでなく、常に戦いに勝つことをモットーとしているマオリの戦士のように、心機一転して挑戦する決意を表明できるからです。前のデザインは相手から脚を削られても黙ってやられるだけでした。でも今は違っていて、より成熟しているし、やられたらやり返すぞ、ということを伝えられるのです」

タトゥーの入れすぎは危険?

ロペスはこのタトゥーを彫る際に「ブラックワーク」「ブラックフル」「ブラックアウト・タトゥー」などと呼ばれるテクニックを使っている。肌に黒い染料を浸み込ませる技術だ。この技術のアルゼンチンでのパイオニアはカンデラリア・ティネリで、 テレビの司会者として成功したマルセロ・ティネリの娘である。

タトゥーに限ったことではないが、新しい技術を使うときは、やはり人体への悪影響が懸念される。タトゥーの除去を専門にしている皮膚科医のウィル・カービィが『Women’s Health』誌に語った内容によると、「最近の彫師はいくつかの染料を混ぜて、真っ黒な染料を作ります。結局のところそうした染料はほぼ炭素で構成されることになるので、人体に悪影響をもたらす可能性があります」とのことだ。

しかし、ロペスは「これは危険なことではない」という。「つま先から頭のてっぺんまでタトゥーを入れているわけではないですし、それに、レオ・メッシは長いシーズンをプレーしていて、休みをとるのは夏だけです。それに休みの間もコンディションには細心の注意を払っています。ほとんど運動しない人がタトゥーを入れすぎると確かに危険です。なぜなら、染料が肌になじむまでに時間がかかってしまうからです。でもスポーツ選手の場合、特にレオ・メッシのような人であれば、タトゥーの傷はすぐに治るし、染料もすぐに肌になじみます

メッシの左足。真っ黒なタトゥー(左側)

真っ黒なタトゥーの起源は、オセアニアに住むマオリ族の戦士に由来します。このスタイルは現在密かに流行っていて、昔のタトゥーを上書きする場合ではなくても依頼してくる人がたくさんいます。前衛的なものですね」とロペスがまとめた。

ひょっとすると、メッシにこのタトゥーを入れたことによって、前衛的だったものが一気に「おなじみのもの」になってしまうのかもしれない。